最高裁判所第三小法廷 昭和32(オ)372 判決
主 文
原判決を破棄する。
本件を名古屋高等裁判所に差戻す。
理 由
上告代理人加藤謹治の上告理由第三点について。
原審は、所論紡毛ジヤージ五〇反の売買につき売主たる上告人の履行遅滞による
買主被上告人の損害賠償請求権の成立を認め、該損害賠償債権を以てする被上告人
の上告人に対する相殺の抗弁を認容している。しかしながら、双務契約たる右売買
につき、同時履行の関係を排すべき特段の事実の認定なき本件において、被上告人
より所論付遅滞の主張立証がなされないままに、ただ売主たる上告人が約定の履行
期を徒過延引し、売渡物件の引渡をなさないことのみにより卒然その履行遅滞を判
断した原判決は、右の点について審理を尽さず理由不備の違法あるものといわねば
ならない。この点を指摘する論旨は理由がある。
よつて、その余の論旨に対する判断を省略し、原判決を破棄し、これを原審に差
し戻すべく、民訴四〇七条一項に従い、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決
する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 石 坂 修 一
裁判官 河 村 又 介
裁判官 垂 水 克 己
裁判官 五 鬼 上 堅 磐
裁判官高橋潔は、死亡につき署名押印することができない。
裁判長裁判官 石 坂 修 一
- 1 -